| イメージ
 
 ・イメージとは、頭の中で、五感を使って、経験を作り出すまたは再現するスキルです。
 ・イメージの理論的根拠は、シンボリック学習理論です。特定の動作や技術を身につけるために必要となる神経の回路は、その動作のイメージが鮮明であればあるほど、活性化されます。脳はイメージと現実を区別することができません。イメージの中で腕を動かしたときも、同じ神経の回路をたどって信号が送られます。もし運動や技のリハーサルを心の中で鮮明なイメージによって繰り返せば、実際に身体を動かすのと同じような効果が生まれ、実際にその動作や技を行うときに、これまで以上の能力を発揮できるのです。
 
 ・イメージの利点
 ●自信が強化される。
 ●失敗を発見し、修正できる。
 ●目標を設定する。
 ●感情をコントロールする。
 ●セルフコントロール能力がつく。リラックス感。
 ●技術を向上させる。
 ●試合で経験することをリハーサルできる。
 ●妨害要素を遮断し、集中する方法を学ぶことができる。
 
 
 ・留意点
 ●最初にリラクセーションを実施する。
 ●視覚・聴覚・筋感覚・感情をイメージする。イメージする感覚には、各個人で得手不得手がある。選手に確認させて、得意なものから始める。慣れたら他の感覚を増やしていく。
 ●顔を少し上に向けるとイメージしやすい。
 ●イメージには、内的イメージと外的イメージある。内的イメージでは筋感覚が高まり、外的イメージは、フォームを把握するのに役立つ。内的イメージを中心に実施する。内的とは、自分自身がやっているイメージ。外的とは、見ているイメージ。
 ●陸上や水泳など、タイムを争うスポーツは、ストップウォッチで時間を計りながら実施する。
 ●イメージしなきゃという力んだ感じではなく、こうなったらいいなーくらいの感じで実施する。
 ●鼻歌を歌ってもよい。
 ●試合前に悪いイメージが出たときは外的イメージに変換すると、感情を味わいにくい。ただし悪いイメージが出ないように普段からトレーニングする必要がある。
 ●悪いイメージは消そうとせず、別の良いイメージを出す。
 ●イメージトレーニングの効果に即効性を求めない。
 ●知らないことはイメージできない。知らない会場で試合をするときは、事前に会場をビデオに撮っておくと良い。また新しい技術を習得したいときも、選手のビデオを見る必要がある。
 
 
 ・現場での活用例 基 礎
 ●リラクセーションを実施する。
 ●両手を後ろについて、顔を上に向けて、目を閉じてベストプレーをイメージ。20秒。
 ●立ってイメージ。目を開けてスローでベストプレーのシャドウ。10秒。
 ●目を閉じてスローでベストプレーのシャドウ。10秒。
 ●実際のスピードで、目を開けてシャドウ。10秒。
 ●実際のスピードで、目を閉じてシャドウ。10秒。
 ●各練習前に、目を開けてシャドウ。ノック、バッティング、フリーキック、素振り、3対1等。
 ※シャドーとは、身体を動かすイメージです。
 
 
 ・効果的なイメージトレーニング例
 ●本当にスキーをしているようにイメージトレーニングして下さい。そして、自分の身体がどう動いているのか感じてください。スキーのイメージトレーニングをしている時、歌を口ずさむか、歌を口笛で吹きながら行ってください。
 ・非効果的なイメージトレーニング例
 ●実際にスキーをしている時、フォームなどいろいろなものに集中して下さい。腕を地面と並行にするようにちょっと曲げ下さい。
 
 
 現場での活用例 応 用
 ●練習日誌
 ● 試合に対するプランシートを作成する。予測できる困難・失敗をイメージし、この問題が起きたらこう処理すると対応策をイメージする。最終的にこうやって、こうなって自分が勝つと未来の試合を自由にプランする。
 ●24時間365日がイメージトレーニングの時間。
 ●自己分析の紙を用意して、成功した原因の用紙を用意して、過去の試合で成功したときの原因をもう一度思い出し、イメージトレーニングでプラスのイメージを頭に焼き付け、こうやればよい、こうすれば勝てる、上手くいく、自分は素質がある、やればできる、強い、最強、天才だというように自己暗示をかける。上を向いて行うのがコツ。
 ●過去の試合で失敗した原因を小さな原因からイメージトレーニングでプラスの方向に修正していく。イメージの中で技術的なこと作戦的なことを、理想的な自分のやりたいように修正し、マイナスの原因をプラスの原因に変えていく。ポジティブシンキング。失敗・敗退したときの溜息、状態、コーチやチームメイトの言葉、悔しさ、なども思い出しながらやると効果的。下を向いてマイナスのイメージをし、プラスのイメージに修正するときは上を向いて呼吸も強く元気良くし、独り言をつぶやく。音楽をかけると理想的。
 ●イメージビデオやイメージフォトを作成する。
 
 
 
 引用文献:入門書として非常にお奨めです。選手用とコーチ用があります。
 高妻容一〔2002 2003〕 今すぐ使えるメンタルトレーニング
 選手用・コーチ用 ベースポールマガジン社
 
 ジョン・ホッグ〔2003〕 水泳メンタルトレーニング
 ベースボールマガジン社
 カナダの先生です。ワークシート形式で分かりやすいです。陸上にも応用できます
 
 
 
 ●試合直前の長話に注意?
 どの種目でも、試合直前に指導者が選手に話をする光景を良く見かけます。やる気を高めるようなことを言ったり、戦術の確認です。このような行為をペップトークと言います。ペップトークには、いくつか注意点があります。
 1.やる気を高めるようなことを言いましょう。批判したりやる気をなくすような言動は避けましょう。
 2.時間は1分以内です。長話は選手の集中力を奪うだけで、メリットはありません。このようなチームは大抵立ち上がりが悪いです。1分過ぎたら、1分延長するごとに10%集中力が低下する位の気持ちで、ペップトークは事前に考えておきましょう。
 3.技術的な話は避けましょう。選手が混乱します。もっと事前に話しておくと良い
 です。
 
 
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